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連載コラム:
コールセンター用語を
ITとマネジメントの最新トレンドから考える

第6回 レポートの読み方と活用(指標編)

コールセンターの研修の鉄板となるのが、KPIや指標の定義や測定方法、レポートの読み方や活用についてです。コールセンターに関わる人にとっては、欠かすことのできない「レポートの読み方と活用」、「指標の活用」について、2回に分けて書いていきます。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

リアルタイムレポートとヒストリカルレポート

少しシステム寄りのお話になりますが、レポートには「リアルタイムレポート」と「ヒストリカルレポート」の2種類があることを理解しておきましょう。

  • ・リアルタイムレポート

    今現在のリアルタイムのコールセンターの状況を、コールセンターシステムからダッシュボード的に確認するもの
  • ・ヒストリカルレポート

    日次・週次・月次など一定期間の指標のパフォーマンスや業務上の特記事項などを報告するもの

リアルタイムレポートは、今の瞬間のパフォーマンス状況の把握が目的です。コールやチャットの着信状況がどうなのか、オペレーターの着席人数やステータス、今現在の顧客の待ち状況、支援すべきオペレーターがいないかなどを把握します。ここでは、表示される指標や状況を瞬時に把握し、求められる目標を達成するための迅速な行動が求められます。
例えば、応答率が低ければ、リアルタイムレポートを見て、「人が少ないのか?」、「呼量が多いのか?」、「全体の応対時間が長いのか?」を確認し、瞬時に改善を指示していく必要があります。このようなリアルタイムな対応の積み重ねが、日・週・月の全体のパフォーマンス改善につながっていきます。

ヒストリカルレポートは、コールセンターシステムから出力できる過去の一定期間(時間毎、日毎、月毎など)の数値レポートを指します。多くのセンターでは、この出力データに品質指標や特記事項などを加え、報告書を作成しています。特に重要となるのが月次報告書です。

月次報告書に盛り込む内容

月次報告書の内容で大切なのは、日々の数字の推移をグラフなどで視覚的に伝えることではなく、事業目標達成のために、客観的な事実を正確に収集・分析し、改善活動につなげていくことです。重要指標の状況から、最終的なゴールに対してどの程度達成できているか、現場だけで改善できないものがあれば、他部門も含めた業務プロセス見直しの機会を得ることも重要な目的です。

コールセンターの現場によくある失敗レポートとは

これまで、私が多くのセンターを観察する中で発見したよくある失敗レポートの例を挙げます。

  • ・指標の定義があいまいなまま測定、報告されている
  • ・目標値が定まっていない
  • ・過去のマネージャーが重要だと言ってきた指標を意味なく測定している

失敗レポートの原因は様々ですが、一因としてコールセンターマネジメントが確立されておらず、多くの「専門家」の方々が思い思いにコールセンター指標について論じてきたことがあげられます。また、現場のマネージャーやSVの方が、他の業務経験や直感から「これだ!」といくつかの指標だけを重視して管理し、指標測定の本当の目的を理解していないということも多くあります。

では、どのようにコールセンターのレポートを考えていけばよいのでしょうか。

指標の3タイプを理解する

旅客機のパイロットが、「自分は高度が重要だと思う。だから高度を中心にチェックする」、「私は燃料が大事、だから燃料残量を中心にチェックする」と思い思いに飛行していたらどうでしょうか。その飛行機に乗る気になりますか?飛行機のコックピットにたくさんある計器類には、それぞれの意味があり旅客を無事に、定刻通り、快適に、低コストで目的地に運ぶために確認しなければなりません。コールセンターの指標も同様です。
指標は3つの軸でバランスよくみていくことが可能です。

スピードの指標

  • ・スピード

    顧客とコンタクトをとるまでのスピードのことです。コールセンターで重視される“つながりやすさ”もお待たせすることなく対応できた“スピード”の指標として分類できます。
  • ・品質

    品質の指標には顧客満足度/ロイヤルティ、モニタリングで測定する品質、解決率などが分類されます。
  • ・効率

    オペレーターの実働時間に対し、顧客対応に充てられた時間(稼働率)や1時間で何件対応できたか(CPH)など、組織の業務効率を見ていきます。

コールセンターのレポートでは、事業目標達成に紐づく「スピード」、「品質」、「効率」の3つの重要指標を含め、バランスの良い運営状態かどうかを見ていくようにしましょう。

まとめ

  • ① リアルタイムレポートとヒストリカルレポートの目的を明確に理解する
  • ② 思い付きの指標ではなく、事業目標に応じた指標をレポートに載せる
  • ③ 指標の3タイプ(スピード・品質・効率)を理解する

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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