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連載コラム:
コールセンター用語を
ITとマネジメントの最新トレンドから考える

第7回 レポートの読み方と活用(改善編)

前回、レポートの種類と目的、そしてレポートに掲載する指標について書きました。今回は月次報告書などのヒストリカルレポートで特に重要となる改善活動とその報告について書いていきます。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

なぜコールセンターの声が経営に届かないのか

私自身、長くコールセンターにいて、そして経営向けの報告書を作っていた経験の中で、「なぜ経営はコールセンターの状況をわかってくれないのか」、「もっと顧客の状況やコールセンターの大変さを理解してほしい」と思うことが、よくありました。コンサルタントになってからも、そうしたご担当者の声を聞くことがよくあります。また、「コールセンターでは頑張ったことが経営に評価されない」という現場の声をきくこともあります。確かにそういった一面もあると思います。しかしながら、自らを振り返ると反省することがとても多いです。経営が求める目的、事業が求める目標やゴールに重点をおいて報告できていただろうか、経営や他部門にわかるように、レポートを読むメリットを感じてもらえる報告書を書いていただろうかと思うのです。

経営のゴールと重要指標を再確認する

レポートにおいて重要なのは、経営のゴールと重要指標を、コールセンター組織として正しく定義することです。そして、それらの目標達成状況と、達成していない場合の改善活動がしっかりと報告されなければなりません。
そのためには、以下の2つをしっかりと定義します。

  • KGI

    Key Goal Indicatorのことで、重要目的達成指標です。コールセンターの事業としての最終的なゴールの達成度を測る指標です。
  • KPI

    Key Performance Indicatorのことで、KGIの下の階層となります。特にKGIの目標達成のために重要なKPIを重要KPI(重要なパフォーマンス指標)とします。

KGIとKPIを定義したら、“報告書の目的と報告書を見る人は誰か?”を考えながらレポートします。

経営のゴールと重要指標

改善活動のポイント

コールセンターで聞く声のもうひとつに、「私たちはこのように日々改善に取り組んでいる」、「改善活動が評価されづらい」というものがあります。確かに現場で行われる数々の改善活動はとても重要です。しかし、レポートを読むマネージャーやクライアントが欲しいのは、KGIと重要KPIの達成状況です。もし達成していないなら、どのように問題を特定し、改善活動に取り組んでいるか、そして改善活動の結果報告が欲しいのです。そのため、組織として取り組むべき改善活動のステップは以下のようになります。

  • ① 改善の優先順位がブレないようにする

    重要KPIで目標を達成していない指標はないか、ばらつきが大きくうまくマネジメントできていない指標はないかを特定します。
  • ② 定量的なアプローチ

    問題点を特定したら、データをしっかりと分析します。そしてデータ分析に基づいて、根本的な原因は何かを確認します。
  • ③ 改善活動

    根本原因に対して、改善活動の項目を決めて実施します。その際に過去の経験による思い込みや勘を頼りにするのではなく、分析結果に基づいて最も影響のある原因への改善活動に集中します。容易に改善できそうな原因に対して、改善活動のリソースを集中させてしまうことがよくあります。
  • ④ 改善結果のレビュー

    改善活動の成果をレビューし、経過観測と継続的に成果が上がっているか、すなわち改善活動に意味があったかを検証します。

レポートにおいては、これらの各ステップが継続してチェックできるようにしなければなりません。私がみてきたコールセンターでは、問題発見や問題の定義まではしっかりとレポートされるのですが、肝心の改善活動や改善結果がしっかりと掲載されず、毎月新しい改善活動を挙げていくセンターがありました。改善活動は、一度改善のアプローチを発動させたら、改善活動の結果まで継続して追う必要があります。コールセンターという組織が会社全体に評価されていくためには、重要な経営目標にコールセンターがどのように貢献しているのか、どのように改善に取り組み、その結果をだしているかをアピールすることが必要なのです。

まとめ

  • ① 経営や読み手が興味をもち、読むメリットをアピールするレポートが重要
  • ② KGI、重要KPIを再評価し、コールセンターの活動とレポートのリソースを集中する
  • ③ 改善活動は定量的に、改善活動の結果までをしっかりとレポートする

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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