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連載コラム:
コールセンター用語を
ITとマネジメントの最新トレンドから考える

第9回 チャット・チャットボット

顧客接点のチャネルとして、コールは依然として中心的な存在です。しかし、チャット・チャットボットなどのテキスト・コミュニケーションは、顧客の需要と企業側の運用の柔軟性から採用企業が急増しており、顧客接点に不可欠なチャネルになっています。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

テキスト・コミュニケーションが顧客接点を変える

いま家族や友人とのコミュニケーションが、「音声がメイン」の方はいらっしゃるでしょうか。少し前までは携帯キャリアのメールを利用していた方も、今はスマホのショートメッセージかLINE、あるいはチャットという方がほとんどではないでしょうか。企業の顧客接点においても、チャットなどのテキスト・コミュニケーションを好む方の割合が急増しています。さらに、顧客は自分が使いたいと思うチャネルで簡単にコミュニケーションができないと、その企業への満足度が下がるという調査結果があります。顧客にとっては、今やチャットなどのテキスト・コミュニケーションは必須です。企業にとってもテキスト・コミュニケーションの増加はメリットがあります。

  • ・ 顧客動向や嗜好が分析しやすい

    テキスト化したコミュニケーションの記録は、テキストマイニングの技術を使って、頻出する言葉の傾向などを容易に分析でき、より顧客志向の企業活動ができます。
  • ・ オペレーター人材の確保がしやすい

    チャット対応などのテキスト・コミュニケーションのオペレーターは、電話のように顧客に怒鳴られる心配もないため、応募者が多く、離職者が少ないという実績がでています。人材確保に苦労するコールセンターにとってはメリットが大きいです。

チャットとチャットボットの違いと顧客の視点

チャットとチャットボットについて整理しましょう。ひとことでチャットといっても、LINEのようなメッセージングアプリによるものと、企業のWEBサイトでポップアップするWEBチャットサービスに分類できます。

チャット・チャットボットとAIセルフサービス

また、チャット・チャットボットと一括りで語られることが多いのですが、チャットはチャットオペレーターによる有人対応、そしてチャットボットは、AIによる自動応答です。FAQ、電話やメールの自動応答などのセルフサービスと同様のAIセルフサービスといえます。以前はチャットボットによる自動応答とオペレーター対応の入り口を分けているコールセンターもありましたが、現在は自動応答と有人対応を統合しているケースが多くなっています。自動応答でうまく回答できないときに、オペレーターが支援に入るなどの仕組みを活用しています。
顧客にとっては、オペレーター対応か自動応答かは問題ではなく、正しいコンテンツに簡単にアクセスし、解決が得られるかが重要なのです。

コールセンターはどう変わるか

チャットによるテキスト・コミュニケーションの一般化、AIセルフサービスの進歩によりコールセンターはどのように変わるのでしょうか。顧客は、今まで以上にいつでも、どこでも、好きなチャネル(媒体)で、簡単に解決を得られることを望むようになっています。そして、ますます従来の電話オペレーターの採用・育成は難しくなっています。コールセンターのシステムインフラもマネジメントもこうした変化に柔軟に適応できることが求められます。従来のオンプレミス型で初期投資を要して仕様変更が難しいものから、柔軟に仕様変更や最新のサービスとの連携ができるクラウド型のコールセンターシステムへと切り替えていくことが重要になります。マネジメントにおいては、これまでのような固定的かつ階層的、縦割りの組織構成から、より柔軟な組織体制が求められるかもしれません。オペレーターのスキルは、応対に関するスキルや業務知識だけでなく、AIセルフサービスの充実や機能強化を支援できるエンジニアリング的なスキルの育成が必要になってくると思われます。変化にどのように適応できるかが重要になってくるのです。

まとめ

  • ① テキスト・コミュニケーションは、顧客接点の中心になってくる
  • ② 顧客は、人的対応か自動応答かを問わず、アクセスの容易さと解決を求めている
  • ③ コールセンターは、システム・マネジメント・人のすべてで変化への適応を求められる

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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