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連載コラム:
コールセンター用語をITとマネジメントの最新トレンドから考える

第1回 IVR(音声応答システム)

これまで、新型コロナへの対応、在宅化コールセンターの作り方、そしてコールセンターのITシステムなど、コールセンターの経営的課題について書いてきました。これから10回は、コールセンターで知っておきたい用語を取り上げ、その解説と最新トレンドを書いていきます。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

IVRとはなにか

IVRはInteractive Voice Responseの頭文字をとったものです。コールセンターに電話をかけたときに、自動で流れる音声ガイダンスのことで、音声応答システムということもあります。コールセンターに電話すると「注文は1を、配送の確認は2を、その他のお問合せは3番を押してください」など、あらかじめ設定しておいた音声ガイダンスが流れ、選択した番号に応じてオペレーターへの対応の振り分けを行ったり、注文や照会などの自動音声サービスを提供したりするシステムのことです。IVRはほとんどのコールセンターで導入されています。

音声応答サービスの構成例

IVRでできること

IVRでできることを整理しておきましょう。主に2つあります。

  • ① オペレーターへのコールの分配

    ・顧客のお問い合わせの要件に応じて、適切な担当者へのコール分配
    ・顧客が会員番号や暗証番号などを入力し、入力内容から顧客の特定や認証
  • ② サービスの自動化

    ・音声応答サービスを利用した注文受付や配送確認などのサービスの自動化
    ・自動発信による世論調査や情報案内
    ・自動ガイダンスによるWebページやチャットサポートへの誘導

IVR(音声応答サービス)に対する満足度は低い

コールセンターに必須ともいえる機能ですが、音声応答サービスに対する顧客満足度は非常に低いものになりがちです。総合的な顧客満足度が90%を超えるコールセンターでも、IVRに対する満足度はその半分にも満たず50%を割ってしまうことも珍しくありません。なぜなら、顧客は早くオペレーターと話して問題を解決したいと思っているのに、音声のガイダンスの操作は面倒だなぁと感じるものですし、ましてや長々と何度も操作していると嫌になってしまうことが多いのです。私もインターネットサービスに契約関連のことで電話をしたら、非常に複雑なデザインのIVRでした。そして、10分近く操作をしているのにオペレーターにつながらないうえに、時間切れで電話を切られてしまったことがあります。最終的にそのサービスに対する気持ちが冷めて、解約してしまいました。また、ある証券会社では、「私たちは音声応答サービスを使わないで、すぐにオペレーターにつながります。」ということをアピールポイントとして広告を出していました。やはり、IVRはちょっとコールセンターでは嫌われ者かもしれません。

クラウド・コールセンターシステムなら簡単

IVRのデザインは、コールセンターの意図通りに顧客が間違いなく操作できているか、効率性は十分か、などを検証し継続的に変更したり改善したりしていくべきものです。
しかし、従来のコールセンターシステムではIVRのフロー設定は難しく、ITベンダーのエンジニアに依頼するしかありませんでした。また、音声もアナウンサーのプロにスタジオで録音してもらい、データ化してシステムに取り込むなど、一度設定したIVRを簡単に変更することができませんでした。現在多くのクラウド型コールセンターシステムが、IVRの設定を簡便なものにしています。WEB上のグラフィカルな部品と部品をつなげるように設定するだけでIVRの設計ができ、テキストTo スピーチの機能を使って、テキストを入力するだけで、かなり自然な音声を合成することが、コールセンターの運用部門側で行うことができます。ですので、急なトラブルに応じて柔軟にIVRの設定を変えたり、個人認証後に顧客の属性に合わせてプロモーションを入れたりと状況に応じたIVRの設定変更ができます。

V-IVRやAI-IVRの登場

最近ではV-IVR(ビジュアルIVR)というシステムを導入する企業が増えています。
スマートフォン用のWEBページもしくは専用のアプリなどで提供されます。顧客が相談したい内容を画面から選択していき、「お問い合わせをする」ボタンを押すと、選択した内容に応じて、適切なオペレーターに接続したり、チャットやFAQに誘導したりできます。従来のIVRと大きく違う点は、電話以外のチャネルにコールを振り分けることができるため、チャットやFAQサイトに誘導して、お客様の自己解決を促し、呼減が期待できることです。通常のコールセンターが混雑してお待たせアナウンスなどが出ている場合に、V-IVRへのリンクをSMSでお送りして誘導するなど、活用が広がっています。今後は、効果的に自動化されたサービスへの誘導を図って、効率化と顧客サービスの両面を向上させていくことが期待されます。

V-IVRのイメージ

さらに先進的なシステムでは、AI-IVR(人工知能型IVR)が活用できます。これは音声認識機能と組み合わせて、顧客が問合せ要件を自由に話すと言語解析をしてAIが適切な窓口にコールを振り分けたり、さらに要件によってはAIが文章を音声合成して回答したりします。顧客はAIなのかオペレーターなのかをあまり意識することなく、電話での問い合わせができるようになるのです。簡単な問い合わせはAI-IVRで回答し、回答できない内容だけオペレーターに振り分けることもできるため、新しい顧客体験として期待されています。

まとめ

  • ① IVR(音声応答システム)は、コールセンターの必須システムの一つ
  • ② ユーザー部門で簡単にIVRの設定変更し、効果検証できるシステムがでてきた
  • ③ V-IVRやAI-IVRの活用は、スムーズな対応と新たな顧客体験への期待が大きい

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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