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連載コラム:
コンタクトセンターの
マネジメントとITシステム

第9回 新たなリスク〜パンデミック〜に対応するコールセンターマネジメント
(経営編)

新型コロナウイルスとコールセンター

政府の緊急事態宣言に対応し、休業を要請する施設と共に「生活インフラ」として社会を維持する上で営業を要請する施設が発表されました。営業要請する施設には、医療機関、金融機関、生活必需品の店舗、コンビニ、ホテルなどが含まれますが、“コールセンター”の言葉は明記されていません。
そもそも、日本国内に100万人が働いているといわれているコールセンターについて、言及されていないのが寂しい限りですが、明記されていない以上、コールセンターの運営継続判断は企業の判断に委ねられています。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

3つの密=コールセンターである

厚生労働省のホームページでは、「3つの密」を避けましょう!と言っていますが、これら3つの条件がそろう場所がコールセンターです。コールセンターの現場は、比較的大規模なビルに設置されているケースも多く、窓も開けられず空調は集中管理のところが多いのが現状です。一人一人のスペースは90センチ~120センチ程度で、さらに会話が仕事であり、問合せ内容の上長への確認や指導など、社内で密接した会話も多い。まさに、クラスター(集団)発生のリスクが高い場所ですが、恐る恐るコールセンター運営を続けている企業が多いのは間違いありません。今、コールセンター運営はどうしたらいいのでしょうか?

経営はコールセンターのことを理解しているか

日本でも一般の事務ワークについては、急速にテレワークが推進され、通勤時間帯の調整、対面の会議制限、ZOOMやTeamsなどを活用したWEB会議などが一気に進められました。しかしながら、在宅型コールセンターの取り組みはまだまだと言わざるを得ません。
すでに大手のコールセンター・アウトソーサーでは、新型コロナウイルスの感染者が出て、濃厚接触者の自宅待機や、センターフロアの消毒、他センターへの業務振り分け、プレスリリースなどの施策が必要となっています。これらすべてを、コールセンターの一部門で行うことは不可能ですし、アウトソーサーが業務を受託している場合はなおさらです。コールセンター閉鎖をきっかけに、徐々に顧客の信頼を失う可能性もあるのです。
経営陣は、コールセンター運営が経営的リスクとなる可能性があることを認識し、今こそコールセンターの運営そのものを1から見直すべきなのです。

コールセンターの冗長化施策は在宅型も視野に

BCP対策として、拠点の分散化はこれまでも考えられてきましたが、今後は在宅型コールセンター運営も視野に入れる必要があります。感染症対策では、拠点分散してもセンター内の“3密”の環境を避けることは困難です。感染症を防止するために、コールセンターの閉鎖・規模縮小をし、オペレーターの契約解除や解雇などを行ったら、人材を失うことに繋がります。コロナウイルスなどの感染症の脅威が去り、事業がリカバリーを始めたときに、同じようなスキルのオペレーターをすぐに集めて業務を再拡大することは難しいでしょう。このとき、在宅型コールセンターであれば、感染症対策だけでなく、オペレーターの選択は全国でできるし、労働力不足の近年では他社との差別化にもなります。まさに一石二鳥です。

クラウド型システムは、今後のコールセンターに必須の機能要件になる

コールを他拠点に柔軟にルーティングしたり、在宅型のコールセンターを構築したりするには、従来型のオンプレミスのコールセンターシステムでは困難です。クラウド型のコールセンターシステムの導入が基本的な要件の一つとなってきます。
クラウド型のコールセンターといっても、拡張性・革新性、セキュリティ、さらにコストなど多くの要素から比較検討する必要があります。自社の事業方針に沿って、通常業務の機能要件を満たすだけでなく、BCPや在宅型コールセンターの観点から検討が必要です。

クラウド型のコールセンターシステムの導入の利点は、導入までの期間が短く、更にテスト的に開始もできるということです。これから導入する企業は真剣に新しいコールセンターのあり方を実現するシステムの導入を検討すべきですし、すでに導入している企業は在宅型のコールセンター運営を含めたテスト運用を開始すべきです。その時には、従来見えなかったマネジメントの形も見えてきます。システムの導入後は、さらなる進化を求め、新しいマネジメントの形を作っていく必要があります。

まとめ

  • ・コールセンターは3密の環境であり、今こそ経営陣はセンター運営を考えるべきです
  • ・コールセンターの新型コロナウイルス対策は経営的課題です
  • ・コールセンターのBCPとして、クラウド型システムの導入とマネジメントの革新が必須となります
2020年4月掲載

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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