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連載コラム:
コンタクトセンターの
マネジメントとITシステム

第8回 新たなリスク〜パンデミック〜に対応するコールセンターマネジメント
(現場編)

WHOのパンデミック宣言後も新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威は止まることなく、日本国内でも緊急事態宣言が発出され、さらに対象地域が全国に拡大されました。
コールセンターは地方都市に拠点を置くケースが多いので、その影響は大きいです。
厚生労働省からは3つの密を避けるようお願いが出ていますが、コールセンターはまさに「密閉」・「密集」・「密接」の中で業務をしています。

これまでも、コールセンターではトイレ・洗面所にはうがい薬、センターの出入り口には消毒液、休憩スペースにウェットティッシュを置くなど、ウイルス対策には気を遣っていましたが、新型コロナウイルス感染予防として、すぐに現場でできる施策についてまとめました。

プライムフォース株式会社 澤田 哲理

コールセンターのファシリティ利用

  • ・座席の配置

    コールセンターでは密集する形で座席の設計がされているケースが多いと思います。スペースの問題もありますが、空きスペースがあれば最大限に活用し、隣の席を空けたり、直接向かい合う形での座席配置を避けたりという工夫をできる範囲で行なうことが必要です。
  • ・パーテーションの追加設置

    飛沫を防ぐために対面及び隣席との間に追加で透明なアクリルのパーテーションを高めに設置したという米国のコールセンターの事例がありました。日本でもコンビニのレジで透明ビニールを垂らすなどの施策が広がっています。比較的安価にとれる対策ですので、是非検討していただきたいと思います。
  • ・作業導線

    電話業務の合間に帳票を取りに行ったり、プリントアウトしたりという作業が発生することがあります。他のスタッフと距離を取り、ぶつかったりしないように少々不便になっても順路や導線を定め、床に指示板を貼ったり色テープで仕切るなどを工夫してはいかがでしょうか。
  • ・休憩室

    休憩室はスタッフにとって憩いの場ではありますが、座席を撤去したり座席を少なくしたりという施策を取っているケースが海外で報告されています。ここでも床サインで順路を定めたり、紙コップなどの共用備品を撤去したりする策は有効でしょう。
  • ・ヘッドセット

    ヘッドセットはコールセンターのスタッフに必須の機器ですが、いまだに使いまわしのセンターも少なくありません。ひとり1台の体制を整え、難しい場合も消毒やスポンジの洗浄を必須とするなどの施策を徹底したいところです。特にマイクの位置を直す際に、手を口元に持っていく動作も多いので注意が必要です。 キーボードやマウス、プリンターなどの共用機器もヘッドセットと同様に消毒を励行するなどの施策が必要となります。
  • ・衛生・消毒の励行

    マスクについてはコールセンターのスタッフが確実に着用できるように施策をとることが重要となります。手指の消毒のための洗剤やアルコール消毒液の確保は難しくなっていますが、同時に手指を口元にもっていかない、目をこすらないなどの行動面での啓発・指導も重要です。海外では、トイレの掃除や消毒回数を増やすなどの施策も紹介されています。 また、手すり・ドアノブなどの身近なものの消毒には塩素系漂白剤が有効であると紹介され、次亜塩素酸ナトリウム液の作り方もホームページで紹介されています。

次亜塩素酸ナトリウム液の作り方(経済産業省)

仕事の進めかた

実は、これが最も重要な活動かもしれません。マネジメントがしっかり関与してすぐに実施・調整していくべき事項となるでしょう。

  • ・SVへの質問方法

    オペレーターが不明点の確認や質問をする場合に手を挙げて、SVがオペレーターの近くに行って画面を一緒に見ながら指導するのはコールセンターで日常的にみる光景ですが、この方法を改める必要があります。オペレーターが座席を離れず、電話やチャットを利用して質問する方法への切替えが必要です。エスカレーションが遠隔でできるようになれば、オペレーターとの接触がなくなるだけでなく、時間的にも効率的になります。
  • ・朝礼や伝達

    朝礼や申し送り事項の連絡など、近接した会話で実施されてきた活動についても、代替する方法を検討する必要があります。 イントラネットで発信し、既読管理をすれば、確実に伝達したことを確認できます。

コールセンターで働くひとを応援しよう

これまでいろいろな側面から書いてきましたが、すぐにやるべきことは、こうした厳しい環境下で、コールセンターで働く一人一人を応援して励ますことです。彼らは企業の顧客窓口の生命線、そして社会のインフラを守るヒーローでありヒロインだと思います。医療関係者と変わりません。拍手を送り励まし、そしてできる限り具体的な施策を今日から始めましょう。

まとめ

  • ・コールセンターは運営の継続が必須の、企業と社会の重要なインフラです
  • ・現場でできる活動(ファシリティ・機器・衛生・仕事の進めかた)を点検してみましょう
  • ・コールセンターで働いている人たちを励まし続けましょう、できることをすぐしましょう
2020年4月掲載

著者プロフィール

澤田 哲理

マネジメントとITシステムの最新トレンドを組み合わせたコールセンター・コンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

顧客サービス部門オペレーターを皮切りに顧客満足度分析、コールセンター運営マネジメント、ICTシステムの導入、アウトソーシング先選定と運営など多岐にわたるマネジメント業務を経験する。
船井総合研究所グループ企業で14年にわたり、顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格のリード監査員・シニアコンサルタントとして、のべ100社以上の監査や支援を実施。
業界動向に対する研究や知見を通じて、次世代の顧客接点設計を手がける。
日本コンタクトセンター教育検定協会 CMBOK知識スキル体系 主任編集委員として、スキル体系のほか5資格のテキストを執筆
CIAC Call Center Strategic Leader/ITILファウンデーション/PMP(Project Management Professional)/上級シスアドを過去に取得

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