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連載コラム:
コンタクトセンターの
マネジメントとITシステム

第4回 在宅コールセンターをどう作るか
(ITシステム-PBX/インフラ)

ウイルス感染予防として外出自粛要請が出されましたが、コールセンターの窓口を閉鎖した企業はありましたか?コールセンターで対応する案件を緊急性・重要性の高いものだけに絞り込みはするものの、ほとんどの企業はコールセンターの窓口は開けていたのではないでしょうか。
今回のパンデミックによって、コールセンターは緊急時でも事業継続が必要な重要な顧客接点ということが明らかになりました。中には、緊急時の顧客対応方針に誠意が感じられない、困ってコールセンターに問い合わせてもつながらないという理由で、多くの会員や契約者を失ってしまった企業もあります。
今、経営者に求められているのは、緊急時の対応も含めた顧客接点の戦略を持っておくことです。アフターコロナでそのまま元に戻ることなく、この機会に顧客接点戦略について、しっかり考えましょう。

プライムフォース株式会社 大松 祐子

情報セキュリティ対策

セキュリティ対策

在宅コールセンター構築において、運営方法と共に懸念されるのが、情報セキュリティです。センターで業務する際は、監視カメラや持ち込み管理など、人の動きを目で監視することができますが、在宅では動きの監視ができない分、リスクは高いと言えます。しかし、適切にセキュリティ対策を講じることで、在宅コールセンターでも情報セキュリティの安全性が確保できます。
セキュリティの基本は、「人的対策」、「技術的対策」、「物理的対策」の3つの側面から対策を講じることです。「人的対策」は規則やセキュリティルールを設定し、人が遵守すること、「技術的対策」はVPN接続(仮想専用線)やVDI(仮想デスクトップ)、監視ツール導入などシステム技術を活用し、情報漏洩などのリスク対策をとること、「物理的対策」はハードディスクのないPC端末の利用やPCのワイヤーロック、対応中の声が外部に漏れない在宅環境の用意など情報漏洩だけでなく、盗難・盗聴の対策もとることです。
この3つの対策をしっかり講じることで、“在宅だから個人情報は扱えない“という縛りから脱することができます。

在宅化が実現できるクラウドコールセンターシステムとは

以前はコールセンター内にPBXやサーバーを設置するオンプレ型がほとんどでしたが、近年は機能性やコスト面からクラウド型への切り替えが進んでいます。しかし、一言でクラウド型と言っても、システム構成は様々ですぐに在宅化できるものと、そうでないものとあります。
例えば、PBX機能はクラウド上にあるけれども、実はセンターにメディアサーバーを設置し、音声の制御をしているような折衷型のシステム構成の場合、在宅オペレーターへのコール振り分けはすぐにできません。また、構成によってはクラウドサーバー上で通話録音ができないというケースもあります。
クラウド型と言っても、日本国内の1か所のデータセンターPBXが設置されているだけでは、システムの冗長性や可用性の確保という点ではオンプレ型と大きく変わりないこともあるため、細かい構成も確認しておいたほうがいいでしょう。

緊急時にはIVRやフローをスイッチ

ルーティングの変更やIVRのガイダンス変更など、これまで業者に依頼し、変更していたものが、クラウドコールセンターでは自分たちで簡単に設定変更ができます。当然、緊急時のみ在宅コールセンターに切り替えるということも可能です。
この場合、予め緊急時用のフローやガイダンスを作成しておき、何かあった場合に緊急時対応にスイッチします。優先順位の高い問合せのみを受け付けるように変更したり、各オペレーター宅へつなげたりすることも可能です。また、チャット対応をしている場合も同様に緊急時用のフローを持っておけば、有人対応から無人対応に切り替えることも簡単にできます。
これまでの事業継続計画(BCP)は、復帰するまでの想定時間が短いプランが多かったのですが、これからは緊急事態が数日~数週間と続く場合でも、大きくサービスを低下することなく、かつオペレーターの安全・安心を守る事業継続プランが必要です。そのためには、柔軟性の高いシステムの方が優位となります。

在宅コールセンターの注目度が日に日に高まっていますが、企業によって目的も戦略も異なります。システム構築をゴールにせず、企業の中長期の戦略に合わせてシステムと運用構築をおこないましょう。システム構築そのものがゴールではありません。コールセンターの在宅化は、企業の中長期の戦略に沿って実現しなくてはいけません。

まとめ

  • ・在宅コールセンターを構築しない理由をセキュリティの問題にしてはならない
  • ・在宅化が迅速・確実に実現できるクラウド型コールセンターシステムを見極める
  • ・企業の中長期戦略・事業継続計画には、コールセンターの在宅化推進が必須

著者プロフィール

大松 祐子

コールセンターのマネジメントとITシステムの最適化を総合的に支援するコンサルティング会社
プライムフォース株式会社 共同ファウンダー/代表取締役

国内アウトソーサー最大手で、オペレーターを皮切りに、センター長・プロジェクトマネージャーとして運営および立ち上げ支援業務を14年以上にわたり実施。顧客接点のパフォーマンスマネジメントの世界標準であるCOPC規格の監査員・研修を担当し、のべ50社以上の監査および2000人以上のマネジメント研修に従事。2018年ユング心理学に基づく行動理論であるMBTIをコールセンターに適用し、科学的な手法に基づく、コミュニケーション形成やコーチングのトレーニング講師としても活動。

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